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処分に向けた手続

低濃度PCB廃棄物の区分と測定方法

低濃度PCB廃棄物の区分と測定方法

低濃度PCB廃棄物の区分

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低濃度PCB廃棄物
I 微量PCB汚染廃電気機器等 Ⅱ 低濃度PCB含有廃棄物
①低濃度PCB廃油 イ 微量PCB汚染絶縁油
(電気機器又はOFケーブルに使用された絶縁油であって微量のPCBに汚染されたもの)
ロ 低濃度PCB含有廃油(PCB濃度が5,000mg/kg以下の廃油等)
(主として液状物)
②低濃度PCB汚染物 イ 微量PCB汚染物
(微量PCB汚染絶縁油によって汚染されたもの)
ロ 低濃度PCB含有汚染物
  • PCB濃度が100,000mg/kg以下の汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類
  • 金属くず、陶磁器くず、コンクリート破片等の不要物(金属くず等)に付着したもののPCB濃度が5,000mg/kg以下のもの(主として固形物)
③低濃度PCB処理物 イ 微量PCB処理物
(①イ、②イを処分するために処理したもの)
ロ 低濃度PCB含有処理物
(PCB廃棄物を処分するために処理したものであって、PCB濃度が5,000mg/kg以下のもの(金属くず等は付着物の PCB濃度をいう。))

低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(試料溶液作製までの分析手順書)

1. 紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類(合成樹脂くず、合成ゴムくず等)(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. アセトン
  3. 硫酸ナトリウム(無水)
  4. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. フラスコ
  2. 超音波洗浄器
  3. 振とう機
  4. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  5. 漏斗
  6. 分液漏斗
  7. ピペット
  8. メスフラスコ
(3)試料操作

ア. 試料の採取

① 試料をJIS K0060に準じてサンプリングを行い、代表性を確保したうえで100g程度を採取する。
② 採取した試料は、木については2mm以下のサイズに、その他の試料については、2~10mmのサイズに粉砕又は細断し、よく混合した後、5~10g程度を分取し、これらを秤量して試験試料とする。

イ. 抽出

① フラスコにア②で得られた試験試料を入れ、さらに試料量の10倍容程度(50~100 mL程度)のヘキサンを加え、超音波洗浄器等を用いて15分程度抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。注1)
③ 漏斗に残った固形試料はフラスコに戻し、①②の操作を行い、合計2回以上抽出を行う。注2)
④ フラスコ内容物を適量のヘキサンで3回洗い、洗浄液をろ過して、③の操作で得られたろ液と混ぜ、ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水した後、ろ液を濃縮器で濃縮し、100mLに定容したものを試料溶液とする

注1)試料の比重が小さく、ヘキサンに浮いてしまう場合には、ステンレス製メッシュ等を押さえ蓋として用い、試料がヘキサンに浸るようにして超音波抽出を行う。若しくは超音波抽出を振とう抽出に変更する。
注2)試験試料に水が多く含まれる場合は、アのヘキサンによる1回目の抽出操作の前にアセトンによる抽出を行う。その後、ヘキサンでイ①~③の操作を行う。アセトンのろ液は、ヘキサンのろ液とは別に分液漏斗に入れ、アセトンの10倍容の水及びアセトンと等量のヘキサンを加え、液‐液振とう抽出して、得られたヘキサン層をヘキサンのろ液と併せる。この液-液振とう抽出をさらに1回実施し、得られたヘキサン層をヘキサンのろ液と併せる。

ウ. 前処理及び測定

イ④の操作で得られた試料溶液について、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

I「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Iのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Iのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第4章に示す。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。

2. 廃活性炭(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. トルエン
  2. アセトン
  3. ヘキサン
  4. 硫酸ナトリウム(無水)
  5. ガラス繊維
  6. 円筒ろ紙
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. ソックスレー抽出器
  2. 振とう器
  3. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  4. 漏斗
  5. 分液漏斗
  6. ピペット
  7. メスフラスコ
(3)試験操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングを行い、代表性を確保したうえで100g程度を採取する。
② 採取した試料をよく混合した後10g程度を分取し、これらを秤量して試験試料とする。

イ. 抽出

① ア②で得られた試験試料を円筒ろ紙に入れ、トルエンで16時間以上ソックスレー抽出を行う。注1)
② ①の操作で得られた抽出液を、ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。注2)
③ トルエン抽出液を濃縮後、ヘキサンに溶媒置換する。その後100mLに定容したものを試料溶液とする。注3)

注1)試験試料が水を多く含む場合には、トルエンでのソックレー抽出の前にアセトンを用いて3時間程度ソックスレー抽出を行う。アセトン抽出液は、適当量に濃縮後、分液漏斗に移し、濃縮液量の10倍容程度の水及び濃縮液量と同等量のヘキサンを加え、液‐液振とう抽出して、ヘキサン層と水層を分ける。この水層について、液‐液振とう抽出をさらに1回実施し、得られたヘキサン層を併せる。
注2)試験試料が水を多く含む場合には、注1)で得られたヘキサン層を同様の方法で脱水する。
注3)試験試料が水を多く含む場合には、注2)で得られた脱水後のヘキサン層をトルエン抽出液と併せて濃縮し、その後にヘキサンに溶媒置換する。

ウ. 前処理及び測定

イ③の操作で得られた試料溶液について、以下のⅠ又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第4章に示す。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。

3. 汚泥(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. アセトン
  3. トルエン
  4. 水酸化カリウム-エタノール溶液
  5. メタノール
  6. 硫酸ナトリウム(無水)
  7. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. ソックスレー抽出器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. 還流冷却器
  4. 漏斗
  5. 分液漏斗
  6. ピペット
  7. 共栓付フラスコ
  8. メスフラスコ
(3)試験操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングを行い、代表性を確保したうえで100g程度を採取する。
② 採取した試料をよく混合した後5~10g程度を分取し、これらを秤量して試験試料とする

イ. 抽出

① 底質調査方法(平成24年8月環境省水・大気環境局)又はモニタリング調査マニュアル(平成17年3月環境省環境保健部環境安全課)に記載されている手法に準拠して抽出する。
なお、水分を多く含んだ試料では、上記2資料に記載されている水酸化カリウム-エタノール溶液を用いた抽出方法によることが望ましい。またソックスレー抽出を行う場合には、「ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル」(平成21年3月環境省水・大気環境局水環境課)のp.15-16注(14)の方法を用いて抽出することもできる。
② いずれの抽出方法を用いた場合においても、得られた抽出液は、ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水した後、ろ液を濃縮器で濃縮し100mLに定容したものを試料溶液とする。

ウ. 前処理及び測定

イ②の操作で得られた試料溶液について、以下のⅠ又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第4章に示す。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。

4. 廃プラスチック類(表面拭き取り試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. 硫酸ナトリウム(無水)
  3. 脱脂綿
  4. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 超音波洗浄器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. 漏斗
  4. ビーカー
  5. フラスコ
  6. ピンセット
  7. ピペット
  8. メスフラスコ
(3)試験操作

ア. 試料の採取

ヘキサンを染み込ませた脱脂綿等により、廃プラスチックの表面の2ヶ所以上から合計100cm2以上を拭き取る

イ. 抽出

① ビーカーにアで得られた脱脂綿等を入れ、さらにヘキサンを脱脂綿等の10倍容程度加え、超音波洗浄器を用いて10分~15分抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。
③ 漏斗に残った固形試料はビーカーに戻し、①②の操作をさらに1回行い、得られたろ液を②の操作で得られたろ液と混ぜる。
④ ビーカーの内容物を適量のヘキサンで3回洗い、洗浄液をろ過して、③の操作で得られたろ液と混ぜる。
⑤ ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて、④の操作で得られた抽出液を脱水後、濃縮器で20mL以下注1)に濃縮する。
⑥ ⑤の操作で得られた試料をメスフラスコに移し入れて20mLに定容 注1)し、試料溶液とする

注1)20mL以下への濃縮及び20mLへの定容は、定量下限値50mg/kgを考慮したものである。よって、明らかにPCB濃度が高い試料の場合の定容量は100mLで十分である。また、第3章にある分析法の選択によっても100mLで十分な場合がある。

ウ. 前処理及び測定

イ⑥の操作で得られた試料溶液について、以下のⅠ又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。

(4)判定

(3)で求めた廃プラスチック類へのPCBの付着量が1mg/100cm2以下であること。1mg/100cm2を超える場合は、廃プラスチック類の含有量測定法に従って再度分析すること。
なお、定量下限値を0.01mg/100cm2以下とする。

備考

表面拭き取り試験の結果が1mg/100cm2以下である廃プラスチック類は、含有量が5,000mg/kg 以下の低濃度 PCB 含有廃棄物であるとみなすことができるものであるが、その値を超え20mg/100cm2以下である廃プラスチック類については、その結果のみをもってして100,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物とみなして良いものではなく、その判定をするためには従来どおり含有量測定法に従って再度分析する必要がある。なぜなら、無害化処理認定制度の対象に5,000 mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物を追加した制度改正の趣旨は、塗膜くず、廃シーリング材、PCB が多量に含浸した廃プラスチック類等を無害化処理認定事業者によって処理可能とするものであり、これらは含有量試験で分析されるべきものである一方で、これらをPCBが表面に付着した廃プラスチック類の分析を念頭にしている表面拭き取り試験で分析して判定することは適当ではないことから、表面拭き取り試験の判定に係る基準値を拡大することは適当ではないためである。

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。
なお、この表面拭き取り試験は、所定の面積の平滑面がない試料には適用できない。

5. 金属くず(表面拭き取り試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. 硫酸ナトリウム(無水)
  3. 脱脂綿
  4. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 超音波洗浄器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. ビーカー
  4. 漏斗
  5. フラスコ
  6. ピンセット
  7. ピペット
  8. メスフラスコ
(3)試験操作

ア. 試料の採取

ヘキサンを染み込ませた脱脂綿等により、金属の表面の2ヶ所以上から合計100cm2以上を拭き取る。

イ. 抽出

① ビーカーにアで得られた脱脂綿等を入れ、更にヘキサンを脱脂綿等の10倍容程度加え、超音波洗浄器を用いて10分~15分抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。
③ 漏斗に残った固形試料はビーカーに戻し、①から②の操作をさらに1回行い、得られたろ液を②の操作で得られたろ液と混ぜる。
④ ビーカーの内容物を適量のヘキサンで3回洗い、洗浄液をろ過して、③の操作で得られたろ液と混ぜる。
⑤ ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて、④の操作で得られた抽出液を脱水後、濃縮器で20mL以下注1)に濃縮する。
⑥ ⑤の操作で得られた試料をメスフラスコに移し入れて20mLに定容注1)し、試料溶液とする。

注1)20mL以下への濃縮及び20mLへの定容は、定量下限値50mg/kgを考慮したものである。よって、明らかにPCB濃度が高い試料の場合の定容量は100mLで十分である。また、第3章にある分析法の選択によっても100mLで十分な場合がある。

ウ. 前処理及び測定

イ⑥の操作で得られた試料溶液について、以下のⅠ又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。

(4)判定

(3)で求めた金属くずへのPCBの付着量が1mg/100cm2以下であること。
なお、定量下限値を0.01mg/100cm2とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。
なお、この表面拭取り試験は、所定の面積の平滑面がない試料には適用できない。

6. 金属くず(表面抽出試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. 硫酸ナトリウム(無水)
  3. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 超音波洗浄器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. ビーカー
  4. 漏斗
  5. フラスコ
  6. ピペット
  7. メスフラスコ
  8. 蒸発容器
(3)試験操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングし、1kg程度を採取する。
② 採取した試料を適宜細断し、代表性を確保したうえで50g程度を秤量し、試験試料とする。

イ. 抽出

① ビーカーにア②で得られた試験試料を入れ、更にヘキサンを試験試料の10倍容(100mL程度)加え、超音波洗浄器を用いて10分~15分抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。
③ 漏斗に残った固形試料はビーカーに戻し、①から②の操作をさらに1回行い、得られたろ液を②の操作で得られたろ液と混ぜる。
④ ビーカーの内容物を適量のヘキサンで3回洗い、洗浄液をろ過して③の操作で得られたろ液と混ぜる。
⑤ ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて、④の操作で得られた抽出液を脱水後、濃縮器で20mL以下 注1)に濃縮する。
⑥ ⑤の操作で得られた試料をメスフラスコに移し入れて20mLに定容 注1)し、試料溶液とする。

注1)20mL以下への濃縮及び20mLへの定容は、定量下限値50mg/kgを考慮したものである。よって、明らかにPCB濃度が高い試料の場合の定容量は100mLで十分である。また、第3章にある分析法の選択によっても100mLで十分な場合がある。

ウ. 前処理及び測定

イ⑥の操作で得られた試料溶液を十分に均一化した後PCB測定用に分取する。注2)分取した溶液からさらに測定に供する量を正確に分取し、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。試料溶液の残りは、エの付着物量(油分等)の測定 注3)に供する。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。

測定で得られたPCB量を、エで求める付着物量当たりの濃度(mg/kg)に換算する。

注2)再測定ができる量を確保して分取するべきである。
注3)PCB濃度が高い場合には、作業環境や周囲の汚染等、作業上の注意を要する。
付着物量の測定より前にPCB濃度を測定することが望ましい。

エ.付着物量(油分等)の測定

① ウの操作に供しない残りの溶液の量を測定し、蒸発容器に入れる。
② 水質汚濁に係る環境基準について(環境庁告示第59号)付表14(n-ヘキサン抽出物質の測定方法)に準拠して付着物量を測定する。
③ 別に、ヘキサンについて空操作を行い、次式によって試料の付着物量を算出する。
={ 試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)- 空試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)}

④ ③の結果から、付着物量当たりのPCB濃度を算出する。注4)

注4)PCBの定量下限値50mg/kgを満たすために、付着物量として100mg程度を確保することが望ましいが、油分の少ない試料では、それが困難な場合が考えられる。
付着物量の定量下限値は付表13によれば2mgであるが、そのような場合は、PCB測定用の溶液を濃縮する等して、PCBの定量下限値50mg/kgを確保するように努める。

(4)判定

(3)で求めた金属くずの付着物量当たりのPCBの濃度が5,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。
さらに、(3)で求めた金属くずの付着物量が2mg未満である場合は、(3)の試験操作で得られた PCB 量がいかなる値であっても、低濃度 PCB 含有廃棄物であるとみなせるものとする。注5)

注5)準拠している付着物量の測定方法における定量下限値は2mgとされているが、仮に測定値がこの値未満であった場合は、付着物量が測定できず、付着物量当たりのPCB濃度が算出不可能となるため、低濃度PCB含有廃棄物の該当性が判断できないことになる。しかしながら、それはつまり測定試料への付着物量が極めて微量であるということであり、仮に付着物中のPCB濃度が100重量%であったとしても、用いた試験試料が50gであることに鑑みると、金属くず1kg当たりのPCB含有量は40mg未満ということになるため、低濃度PCB含有廃棄物とみなせるものとした。
ただし、これはあくまで分析操作上の不都合を解消するための判定基準であり、みだりにこの判定が適用されることは本来の趣旨ではない。したがって、付着物量の測定値が定量下限値である2mg未満であっても、例えば検出下限値以上である等により、追加で数倍程度の分析試料を用いて測定用の溶液を濃縮すれば定量範囲の測定値が得られることが見通せている場合であれば、そうした試験操作により確定的な測定結果を導くことを推奨する。
なお、(3)の試験操作でPCB量が得られず、低濃度PCB汚染物の該当性を判断する場合は、告示192号に示された方法により検定すること。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡ、水質汚濁に係る環境基準について(環境庁告示第59号)付表13(n-ヘキサン抽出物質の測定方法)に定めるところによる。

7. コンクリートくず(表面抽出試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. 硫酸ナトリウム(無水)
  3. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 超音波洗浄器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. ビーカー
  4. 漏斗
  5. フラスコ
  6. ピペット
  7. メスフラスコ
  8. 蒸発容器
(3)試験操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングし、1kg程度を採取する。
② 採取した試料を粗粉砕し、代表性を確保したうえで、5mm以下に篩ったもの20g程度を秤量し、試験試料とする。

イ. 抽出

① ビーカーにア②で得られた試験試料を入れ、更にヘキサンを試験試料の10倍容(100mL程度)加え、超音波洗浄器等を用いて10分~15分抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。
③ 漏斗に残った固形試料はビーカーに戻し、①から②の操作を、さらに1回行い、得られたろ液を②の操作で得られたろ液と混ぜる。
④ ビーカーの内容物を適量のヘキサンで3回洗い、洗浄液をろ過して、③の操作で得られたろ液と混ぜる。
⑤ ガラス繊維を敷いた上に、硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて、④の操作で得られた抽出液を脱水後、濃縮器で20mL以下 注1)に濃縮する。
⑥ ⑤の操作で得られた試料をメスフラスコに移し入れて20mLに定容 注1)し、試料溶液とする。

注1)20mL以下への濃縮及び20mLへの定容は、定量下限値50mg/kgを考慮したものである。よって、明らかにPCB濃度が高い試料の場合の定容量は100mLで十分である。また、第3章にある分析法の選択によっても、100mLで十分な場合がある。

ウ. 前処理及び測定

イ⑥の操作で得られた試料溶液を十分に均一化した後、PCB測定用に分取する。注2)分取した溶液からさらに測定に供する量を正確に分取し、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。試料溶液の残りは、エの付着物量(油分等)の測定 注3)に供する。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。

測定で得られたPCB量を、エで求める付着物量当たりの濃度(mg/kg)に換算する。

注2)再測定ができる量を確保して分取するべきである。
注3)PCB濃度が高い場合には、作業環境や周囲の汚染等、作業上の注意を要する。
付着物量の測定より前にPCB濃度を測定することが望ましい。

エ.付着物量(油分等)の測定

① ウの操作に供しない残りの溶液の量を測定し、蒸発容器に入れる。
② 水質汚濁に係る環境基準について(環境庁告示第59号)付表14(n-ヘキサン抽出物質の測定方法)に準拠して付着物量を測定する。
③ 別に、ヘキサンについて空操作を行い、次式によって試料の付着物量を算出する。
付着物量(mg)
={ 試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)- 空試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)}

④ ③の結果から、付着物量当たりのPCB濃度を算出する。注4)

注4)PCBの定量下限値50mg/kgを満たすために、付着物量として100mg程度を確保することが望ましいが、油分の少ない試料では、それが困難な場合が考えられる。
付着物量の定量下限値は付表13によれば2mgであるが、そのような場合は、PCB測定用の溶液を濃縮する等して、PCBの定量下限値50mg/kgを確保するように努める。

(4)判定

(3)で求めたコンクリートくずの付着物量当たりのPCBの濃度が5,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。
さらに、(3)で求めたコンクリートくずの付着物量が2mg未満である場合は、(3)の試験操作で得られたPCB量がいかなる値であっても、低濃度PCB含有廃棄物であるとみなせるものとする。 注5)

注5)準拠している付着物量の測定方法における定量下限値は2mgとされているが、仮に測定値がこの値未満であった場合は、付着物量が測定できず、付着物量当たりのPCB濃度が算出不可能となるため、低濃度PCB含有廃棄物の該当性が判断できないことになる。しかしながら、それはつまり測定試料への付着物量が極めて微量であるということであり、仮に付着物中のPCB濃度が100重量%であったとしても、用いた試験試料が20gであることに鑑みると、コンクリートくず1kg当たりのPCB含有量は100mg未満ということになるため、低濃度PCB含有廃棄物とみなせるものとした。
ただし、これはあくまで分析操作上の不都合を解消するための判定基準であり、みだりにこの判定が適用されることは本来の趣旨ではない。したがって、付着物量の測定値が定量下限値である2mg未満であっても、例えば検出下限値以上である等により、追加で数倍程度の分析試料を用いて測定用の溶液を濃縮すれば定量範囲の測定値が得られることが見通せている場合であれば、そうした試験操作により確定的な測定結果を導くことを推奨する。
なお、(3)の試験操作でPCB量が得られず、低濃度PCB汚染物の該当性を判断する場合は、「産業廃棄物等に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年環境庁告示第13号)により検定すること。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡ、水質汚濁に係る環境基準について(環境庁告示第59号)付表13(n-ヘキサン抽出物質の測定方法)に定めるところによる。

8. 塗膜くず(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. ジクロロメタン 注1)
  3. 硫酸
  4. 硫酸ナトリウム(無水)
  5. ガラス繊維

注1)ジクロロメタン以外の溶媒として塗膜試料を溶解させる溶媒があれば適宜選択する。一例として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)がある。

(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 超音波洗浄器
  2. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  3. ビーカー
  4. 漏斗
  5. フラスコ
  6. 分液漏斗
  7. メスフラスコ
(3)試料操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングを行い、代表性を確保したうえで100g程度を採取する。
② 採取した試料のうち、汚泥状のものについては小石等の異物を除去しよく混合したもの、汚泥状以外のものについては粉砕又は細断し、代表性を確保したうえで5mm以下としたもの、2~5g程度を秤量し、試験試料とする。

イ. 抽出

① フラスコにア②で得られた試験試料を入れ、さらに試料量の10倍容程度(20~50mL程度)のジクロロメタンを加え、超音波洗浄器等を用いて15分程度抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液をビーカーに入れる。注2)
③ 漏斗に残った固形試料はフラスコに戻し、①②の操作を行い、2回目の抽出を行う。
④ ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液は②の操作で得られたろ液と合わせる。
⑤ フラスコ内容物を適量のジクロロメタンで3回洗い、洗浄液もろ過して、先のろ液に合わせる。
⑥ ろ液はガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。
⑦ 漏斗に残った固形試料は別のフラスコに入れ、ヘキサン20mLを添加し、試料を分散した状態で、硫酸20mLを加えて溶解させる。
⑧ 分液漏斗に移し、5分間振とうする。
⑨ ヘキサン層を分離し、別のフラスコに入れる。ヘキサン層の分離が困難な場合は遠心分離を用いても良い。
⑩ ヘキサン20mLを元の分液漏斗に加え、2回目の抽出を行う。
⑪ 2回目のヘキサン層を⑨のヘキサン溶液に合わせる。
⑫ ヘキサン溶液は少量の水で洗浄し、ヘキサン層を分離する。
⑬ ヘキサン層はガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。
⑭ ⑥のろ液と合わせて濃縮器で濃縮し、ヘキサンで100mLに定容したものを試料溶液とする。

注2)試料の比重が小さく、ジクロロメタンに浮いてしまう場合には、ステンレス製メッシュ等を押さえ蓋として用い、試料がジクロロメタンに浸るようにして超音波抽出を行う。若しくは超音波抽出を振とう抽出に変更する。

ウ. 前処理及び測定

イ⑭の操作で得られた試料溶液について、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための低濃度PCB汚染物の該当性判断用手順書を第4章に示すが、塗膜くずの低濃度PCB汚染物の該当性判断に適用可能な分析方法は2.2.1GC/HRMS法、2.3.1GC/MS/MS法、2.4.1GC/QMS法のみである。

注3)塗膜には塩化ゴム系塗料が多く使用されており、ECD測定等では適切な分析が困難となる場合が多い。そのため、分析機器は質量分析計に限定した。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。

9. 廃感圧紙(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. アセトン
  2. ヘキサン
  3. ジクロロメタン
  4. 硫酸ナトリウム(無水)
  5. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. フラスコ
  2. 超音波洗浄器
  3. 振とう機
  4. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  5. 漏斗
  6. 分液漏斗
  7. ピペット
  8. メスフラスコ
(3)試料操作

ア. 試料の採取

① 試料を別紙廃感圧紙分析試料の採取方法に従ってサンプリングを行い、代表性を確保したうえで数 10g程度を採取する。
② 採取した試料は、2~10mmのサイズに粉砕又は細断し、よく混合し、5~10g程度を分取し、これらを秤量し、試験試料とする。

注1)採取後の試料は、二重包装にすることや温度上昇を防止すること(30℃程度以下)等により輸送や保管等での他の試料の汚染及びPCBの揮散消失の防止措置を講じること。

イ. 抽出

① フラスコにア②で得られた試験試料を入れ、更に試料量の10倍容程度(50~100mL)のアセトンを加え、超音波洗浄器等を用いて15分程度抽出する。
② ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を別のフラスコに入れる。
③ 漏斗に残った固形試料はフラスコに戻し、①②の操作を行い、合計2回以上抽出する。
④ フラスコ内容物を適量のアセトンで3回洗い、洗浄液をろ過して、②③の操作で得られたろ液と混ぜ、突沸に注意しながら濃縮器で濃縮した後 注6)、適量のヘキサンに転溶する。
注7)その後、ガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。
⑤ ヘキサンで100mLに定容したものを試料溶液とする。

注2)試料の状態やサンプリング方法によっては、廃感圧紙が固まりとなっている場合があり、この状態では抽出が不十分となる。そのため十分に紙を解してから抽出すること。
注3)抽出溶媒としてジクロロメタンも適用可能であり、アセトンに替えてジクロロメタンで抽出しても良い。
注4)試料の比重が小さく、アセトンに浮いてしまう場合には、ステンレス製メッシュ等を押さえ蓋として用い、試料がアセトンに浸るようにして超音波抽出を行う。又は超音波抽出を振とう抽出に変更する。
注5)試験試料が含水している場合には、1回目の抽出操作には必ずアセトンを用いる。その後、アセトン又はジクロロメタンでイ①~③の操作を行う。1回目のアセトンのろ液は、2回目以後のろ液とは別に分液漏斗に入れ、アセトンの10倍容の水とアセトンと等量のヘキサンを加え、液-液振とう抽出して、ヘキサン層を分取する。この液-液振とう抽出をさらに1回実施し、得られたヘキサン層を先のヘキサンに併せる。
注6)試験試料中の微量の水分がアセトンに混在する場合も想定される。親水性溶媒のアセトンを硫酸ナトリウム(無水)で脱水することは困難なため、最初に濃縮を行うが、アセトンが含水している場合、濃縮時に突沸しやすいので注意が必要である。
注7)試験試料が含水している場合は、注5)の操作で得られたヘキサン層をここで併せる。
注8)ジクロロメタンを用いる場合は、アセトンを用いる場合の手順とは異なり、③の操作で得られたろ液を、脱水、濃縮、ヘキサン転溶の順で操作してよい。

ウ. 前処理及び測定

イ⑭の操作で得られた試料溶液について、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる。

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第4章に示す。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)ウのI又はⅡに定めるところによる。

10. 廃シーリング材(含有量試験)

(1)試薬(PCBの分析に妨害を生じないものに限る。)
  1. ヘキサン
  2. アセトン
  3. トルエン
  4. 硝酸
  5. 硫酸
  6. ヘキサン洗浄水
  7. 硫酸ナトリウム(無水)
  8. ガラス繊維
(2)器具及び装置(試薬とともに空試験を行い、PCBの分析に影響を及ぼす妨害成分を含まないことが確認されたものに限る。
  1. 共栓試験管
  2. 漏斗
  3. フラスコ
  4. 分液漏斗
  5. ピペット
  6. メスフラスコ
  7. 超音波洗浄器
  8. 振とう機
  9. 濃縮器(ロータリーエバポレーター又はクデルナダニッシュ濃縮器)
  10. ビーカー
(3)試料操作

ア. 試料の採取

① 試料をJISK0060に準じてサンプリングを行い、代表性を確保したうえで10~100g程度を採取する。
② 採取した試料は、2mm以下のサイズに細断し、よく混合し、必要試料量を分取、秤量し、試験試料とする。ここで必要試料量とは、イ予備試験において硝酸に溶解する場合10mg程度、硝酸に溶解しない場合0.2~0.5g程度とする。

イ. 予備試験

① 共栓試験管10mLに、ア②で得られた試験試料1mg程度を入れ、注意深く硝酸2mL程度を加え、溶解するかどうかを確認する。注1)
② 硝酸に溶解する場合、ポリサルファイド系シーリング材である可能性が高く、PCBも高い濃度で含有している可能性がある。注2)

ウ. 抽出(予備試験で硝酸に溶解する場合)

予備試験において硝酸に溶解する場合、高い濃度のPCB含有シーリング材か否かを判定するため、事前にPCB濃度を測定する。

① 共栓試験管20mLに、ア②で得られた試験試料10mg程度を入れる。
② ヘキサン5mLを添加し、試料を分散した状態で、硝酸5mLを加えて溶解させる。注1)注2)
③ 共栓試験管の内容物を全て分液漏斗に移し、5分間振とうする。
④ ヘキサン層を分離し、フラスコに入れる。
⑤ ヘキサン5mLを元の分液漏斗に加え、2回目の抽出を行う。
⑥ 2回目のヘキサン層を④のヘキサン溶液に合わせる。
⑦ ヘキサン溶液は少量の水で洗浄し、ヘキサン層を分離する。注3)
⑧ ヘキサン層はガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。
⑨ 窒素吹き付けにより濃縮し、ヘキサンで10mLに定容したものを高い濃度でPCBを含有しているシーリング材の判定用の試料溶液とする。注4)
⑩ 後述するオ前処理及び測定及び第3章の低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断用手順書に従ってPCB濃度を測定する。なお、PCB濃度が比較的低いと推定され、低濃度PCB汚染物であるか非PCB汚染物であるかを確認する必要がある場合は、再度、エ抽出とオ前処理及び測定を実施する。

エ. 抽出(予備試験で硝酸に溶解しない場合及びPCB濃度が比較的低い場合)

予備試験において硝酸に溶解しない場合、及び、ウ抽出(予備試験で硝酸に溶解する場合)においてPCB濃度が比較的低いと推定された場合、低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断及び低濃度PCB汚染物の該当性判断のために、PCB濃度を測定する。

① 共栓試験管20mLに、ア②で得られた試験試料0.2~0.5g程度を入れる。
② ヘキサン5mLを添加し、試料を分散した状態で、硝酸5mLを添加し反応が収まってから、硫酸5mLを加えて溶解させる。注1)
③ 共栓試験管の内容物を全て分液漏斗に移し、5分間振とうする。
④ ヘキサン層を分離し、フラスコに入れる。
⑤ ヘキサン5mLを元の分液漏斗に加え、2回目の抽出を行う。
⑥ 2回目のヘキサン層を④のヘキサン溶液に合わせる。
⑦ 分液漏斗中に溶解しない固形試料が残っている場合、分液漏斗の内容物を、ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過する等して固形試料のみを取り出す。固形試料に付着した硝酸又は硫酸を水洗後、固形試料に付着した余分な水分を取り除く。
⑧ 別のフラスコに⑦で得られた固形試料を入れ、トルエン10mLを加え、超音波洗浄器等を用いて15分程度抽出する。注5)
⑨ ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液をビーカーに入れる。
⑩ 漏斗に残った固形試料はフラスコに戻し、⑧の操作を行い、2回目の抽出を行う。
⑪ ガラス繊維を敷いた漏斗でろ過し、ろ液を⑨のトルエン溶液に合わせる。
⑫ フラスコ内容物を適量のトルエンで3回洗い、洗浄液もろ過して、先のトルエン溶液に合わせる。
⑬ ⑫のトルエン溶液を濃縮した後、少量のヘキサンに転溶する。
⑭ ⑬のヘキサン溶液を⑥のヘキサン溶液に合わせる。
⑮ ヘキサン溶液は少量の水で洗浄し、ヘキサン層を分離する。注3)
⑯ ヘキサン層はガラス繊維を敷いた上に硫酸ナトリウム(無水)を充填した漏斗を用いて脱水する。
⑰ 窒素吹き付けにより濃縮し、ヘキサンで10mLに定容したものを試料溶液とする。

注1)ポリサルファイド系シーリング材の場合は、激しく反応するので、注意深く硝酸を加える。
注2)容器のクロスコンタミに注意する。PCB含有シーリング材はかなりの高濃度になる場合があるので、注意する。
注3)必要なら中和を行う。
注4)高い濃度の試料を分析した器具は、高い濃度の試料専用に切り替える。
注5)完全に溶解し、固形試料がない場合はトルエンでの超音波抽出は省略できる。

オ. 前処理及び測定

ウ⑨又はエ⑰の操作で得られた試料溶液について、以下のI又はⅡに記載された方法によって、前処理及び測定を行う。具体的な操作方法については、各方法に定めるところによる

Ⅰ「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」(平成23年5月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)2 絶縁油中のPCB簡易定量法
Ⅱ「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号)別表第二

Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章に示す。なお、試料中のPCB濃度が高い場合には、希釈のみでも測定可能である。その場合の手順等を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第3章の各測定法中に「精製が不要な場合」として示す。
また、Ⅰのうち主な簡易定量法の分析方法を適用するための手順書を手順書を「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」第4章に示す。

(4)判定
ア 低濃度PCB含有廃棄物の該当性判断基準

① 5,000mg/kg超え低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下であること。
なお、定量下限値を1,000mg/kg以下とする。
② 5,000mg/kg以下の低濃度PCB含有廃棄物
(3)で求めた試料のPCB含有量が5,000mg/kg以下であること。(及びPCB処理物の卒業基準又はPCB汚染物の該当性判断基準を超えていること。)
なお、定量下限値を50mg/kg以下とする。

イ 低濃度PCB汚染物の該当性判断基準

(3)で求めた試料のPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg以下であること。)
なお、定量下限値を0.5mg/kg以下とする。

備考

この試験方法における用語、試薬、器具及び装置その他の事項でこの試験方法に定めがないものについては、(3)オのI又はⅡに定めるところによる。
PCBが意図的に用いられているシーリング材は、ポリサルファイド系のものであって、1973年(昭和48年)以降に着工した建物には使われていないとされているため、ポリサルファイド系であるかを予備試験で確認することは、あらかじめおおよその濃度範囲を推定する上で有用である。ただし、非ポリサルファイド系のシーリング材であっても、建物の改修によって、PCBを含有するシーリング材が部材に残った状態に重ねて施工されたものには、改修前のシーリング材からPCBが移行していることも考えられることに留意する必要がある。