低濃度PCB使用機器及び廃棄物の収集・運搬
低濃度PCB使用機器及び廃棄物の収集・運搬
PCB廃棄物の安全な収集運搬について
PCB廃棄物を運搬する際には、①密閉できることなどPCBの漏洩防止措置を講じた運搬容器を有すること、②運搬車等には応急措置設備、緊急時の連絡設備等が備え付けられていること、③業務に直接従事する者(運転者等)がPCB等の性状、事故時の応急措置等の知識及び技能を有すること、などの許可基準を満たす必要があり、廃棄物処理法で定める特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を有する収集運搬事業者に委託して運搬しなければなりません。
また、PCB廃棄物保管事業者が、自ら運搬を行う場合にあっても、PCBの漏洩防止措置を講じた運搬容器に収納して運搬することが必要です。
環境省は、廃棄物処理法に基づく収集運般に係る基準を遵守するために必要となる技術的な事項について明確化した「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」を定めているので、ご参照ください。
低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン
低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン(抜粋)
微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬
収集・運搬
2.1 事前調査・委託契約
- 保管事業者は、微量PCB汚染廃電気機器等の種類、数量、性状及び状態等を調査、確認し、当該微量PCB汚染廃電気機器等が運搬されるまでの間、適正に保管しなければならない。
- 保管事業者は、微量PCB汚染廃電気機器等を自ら運搬する場合には、保管事業者が積込み、運搬、積下しについて予め安全、運行計画の検討を行ない、自ら管理して実施しなければならない。
- 保管事業者は、微量PCB汚染廃電気機器等の運搬又は処分を委託する場合には、運搬又は処分を委託しようとする者に対し、事前に、委託しようとする当該微量PCB汚染廃電気機器等の種類、数量、性状、荷姿及び取り扱う際に注意すべき事項を、文書で通知しなければならない。
- 収集運搬業者は、収集・運搬しようとする微量PCB汚染廃電気機器等の保管事業者における保管状況を事前に確認することが必要である。
- 保管事業者は、微量PCB汚染廃電気機器等の運搬又は処分を委託する場合には、廃棄物処理法に定める委託基準に基づき、収集運搬業者又は処分業者と書面により委託契約しなければならない。
2.2 収集運搬の方法
2.2.1 基本的事項
- 微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬に当たっては、委託契約及び廃棄物処理法に定める処理基準に従い行わなければならない。
- 保管事業者が微量PCB汚染廃電気機器等の運搬を委託する場合には、必要事項を記載したマニフェストの交付又は電子マニフェストによる必要事項の登録を行わなければならない。
2.2.2 漏洩の点検、漏洩防止措置
事前調査時、積込み時、運搬時、積替え時、積下し時において、微量PCB汚染絶縁油等の漏洩の有無を点検し、必要な漏洩防止措置を講ずることとする。
2.2.3 積込み、積下し時の立会
微量PCB汚染廃電気機器等の積込み、積下しをする場合には、保管事業者の特別管理産業廃棄物管理責任者又はその職務を代行する者、収集運搬業者の運行管理責任者又はその職務を代行する者、処理施設の設置者又はその職務を代行する者がそれぞれの行為に応じて立ち会う必要がある。
2.2.4 積込み、積下しの方法
- 微量PCB汚染廃電気機器等は、できるだけ発生場所や保管場所で運搬容器に収納すること。ただし、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第68条3の3第2項の規定に定める電気機械器具については、この限りでない。
- 微量PCB汚染廃電気機器等が運搬容器内で移動し、転倒し、破損しないように収納すること。
- 微量PCB汚染廃電気機器等の運搬容器が運搬中に運搬車両や船舶内において転倒や移動することのないよう固定すること。
- 微量PCB汚染廃電気機器等の種類等に応じて適切な荷役を行うこと。
2.2.5 積替え・保管
- 積替え・保管は、あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められているとともに、搬入された微量PCB汚染廃電気機器等の量が、積替えの場所において適切に保管できる量を超えないものとしなければならない。
- 微量PCB汚染廃電気機器等の搬入、搬出及び保管の状況等を記録し、適切に管理する必要がある。
2.2.6 積替え・保管施設
- 周囲に囲いを設け、かつ、見やすい箇所に微量PCB汚染廃電気機器等の積替え・保管の場所である旨その他必要な事項を表示した掲示板を設けること。
- 保管の場所から微量PCB汚染廃電気機器等が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないよう必要な措置を講ずること。
- 微量PCB汚染廃電気機器等に他の物が混入するおそれのないように仕切りを設ける等の必要な措置を講ずること。
2.2.7 液抜き・解体
- 微量PCB汚染廃電気機器等を移動することにより、破損、漏洩するおそれがあり、機器を容器に収納することができない場合、大型機器であって発生場所や保管場所からの搬出・運搬が困難であるといった場合には、発生場所や保管場所において液抜き・解体を行うことを検討する。
- 保管事業者は、変圧器等の構造、重量物の取扱い・運搬方法に関する知識及び経験を有する者の協力を得て、液抜き・解体の方法を決定する。
- 液抜き・解体に当たって、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないように必要な措置を講ずること。
2.3 表示・標識
- 収集・運搬を行う場合には、廃棄物処理法の規定により産業廃棄物を収集運搬している旨を運搬車へ表示するとともに、その他関係法令の規定により、運搬車及び運搬容器に必要な表示をしなければならない。
- 収集・運搬を行う場合には、運搬容器及び運搬車に「微量PCB」と表示しなければならない。
- 保管を行う場合には、その容器に「微量PCB」等と表示するなど、他の廃棄物と区別し、微量PCB汚染廃電気機器等であることが確実に特定できるようにすること。
2.4 携行書類
収集・運搬を行う場合には、収集・運搬に係る微量PCB汚染廃電気機器等の種類及び当該微量PCB汚染廃電気機器等を取り扱う際に注意すべき事項を記載した文書その他必要な書類を携帯すること。
運搬容器
3.1 運搬容器の種類
微量PCB汚染廃電気機器等の運搬容器には、次のものがある。
〈船舶危規則に規定する運搬容器〉
① 小型容器(固体用)
② 小型容器(液体用)
③ IBC容器(固体用)
④ IBC容器(液体用)
⑤ ポータブルタンク(固体用)
⑥ ポータブルタンク(液体用)
⑦ 漏れ防止型の金属製容器
⑧ 漏れ防止型の金属製トレイ
〈消防法令に規定する運搬容器及び貯蔵所〉
⑨ 機械により荷役する構造を有する容器
⑩ ⑨に掲げる容器以外の容器
⑪ 移動タンク貯蔵所
3.2 運搬容器の基準
微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬を行う場合には、消防法令や国連勧告に準拠している船舶危規則等を踏まえ、その種類や性状に応じた運搬容器を用いて行う。
3.3 運搬容器の選定・防護措置
- 微量PCB汚染廃電気機器等の運搬容器は、その種類及び形態等に応じて適切に選定する必要がある。
- 変圧器、コンデンサー等の微量PCB汚染廃電気機器等を陸上運搬する際、他の運搬容器に収納せず、そのまま運搬する場合は、微量PCB汚染絶縁油の環境中への流出を防護するためにオイルパン又はシートの上にこれらを設置して運搬すること。
3.4 運搬容器の検査
微量PCB汚染廃電気機器等の運搬容器は、所要の検査に合格したものでなければならない。
3.5 運搬容器の再使用
運搬容器は、微量PCB汚染廃電気機器等による二次汚染がないよう必要な措置を講じた上、同じ用途のため再使用することができる。
3.6 運搬容器の維持管理
- 運搬容器は、適切に保管、維持管理すること。
- 運搬容器の使用者は、使用の都度、運搬容器に異常がないことを点検すること。
- 運搬容器の所有者は、運搬容器の運用、検査及び修繕結果等の維持管理内容を記録し、保管すること。
安全管理及び運行管理
4.1 安全管理の体制
収集・運搬を行う場合には、安全管理体制を構築するとともに、収集・運搬における安全性を確保し、適切に収集・運搬が行われるように、収集・運搬従事者に作業内容、取扱いの留意事項を周知徹底する必要がある。
4.2 収集・運搬従事者の教育
微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬を行う場合には、収集・運搬従事者に対し、微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬についての教育を受けさせなければならない。
4.3 運搬計画
微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬を行う場合には、収集・運搬方法及び運搬経路等必要な事項を記載した運搬計画を作成する必要がある。
4.4 運行管理
- 収集・運搬を行う場合には、運搬車ごとに運行状況を把握することが必要である。
- 収集・運搬を行う場合には、運搬容器、運搬車ごとに運用、運行記録を作成することが必要である。
- 収集・運搬を行う場合には、帳簿を備え、産業廃棄物の種類ごとに、廃棄物処理法に定める事項を記載しなければならない。
4.5 届出
- 微量PCB汚染廃電気機器等の保管事業者は、毎年度、前年度における微量PCB汚染廃電気機器等の保管及び処分の状況について、都道府県知事に届け出なければならない。
- 微量PCB汚染廃電気機器等の保管事業者は、微量PCB汚染廃電気機器等を保管する事業場に変更があったときは、十日以内に、変更前後の事業場の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
緊急時の対策
5.1 事故の未然防止
- 収集・運搬を行う場合には、収集・運搬中の事故等の未然防止に努めなければならない。このため、微量PCB汚染廃電気機器等の取扱いに十分留意し、漏洩防止等、必要な措置を講ずるものとする。
- 収集・運搬を行う場合には、運搬車及び積替え・保管施設に予め応急措置設備・器具を備えておく必要がある。
5.2 緊急連絡体制
- 収集・運搬を行う場合には、収集・運搬中の事故等緊急時における関係者への連絡先を予め確認しておかなければならない。
- 収集・運搬を行う場合には、緊急時における連絡先及び収集・運搬従事者が対処すべき事項を記載した緊急時対応マニュアルを携帯しなければならない。
5.3 緊急時の措置
収集・運搬を行う際に緊急事態が発生した場合には、緊急時対応マニュアルに基づき、必要な応急措置、環境調査を行わなければならない。
低濃度PCB含有廃棄物の収集・運搬
収集・運搬
2.1 ばく露防止措置
低濃度PCB含有汚染物のうち、PCB濃度が1%を超える汚泥、紙くず、木くず、繊維くず又は廃プラスチック類の事前調査時及び収集運搬時には、作業に従事する労働者へのPCB等のばく露防止の観点から、特化則で定められた必要な安全衛生対策を講ずること。
2.2 表示・標識
〈微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬:2.3 表示・標識〉に記載されている事項と同様にすること。ただし、〈微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬:2.3 表示・標識〉に記載されている「微量PCB」は「低濃度PCB」に、「微量PCB汚染絶縁油」、「微量PCB汚染物」、「微量PCB処理物」は、それぞれ「低濃度PCB含有廃油」、「低濃度PCB含有汚染物」、「低濃度PCB含有処理物」に読み替えることとする。
なお、低濃度PCB含有汚染物のうち、PCB濃度が1%を超える汚泥、紙くず、木くず、繊維くず又は廃プラスチック類の運搬容器には、労働安全衛生法(特化則)の定めるところにより、その見やすい箇所に名称及び取扱い上の注意事項を表示すること。
運搬容器
3.1 運搬容器の選定・防護措置
- 低濃度PCB含有廃棄物の運搬容器は、その種類及び形態等応じて適切に選定する必要がある。
- 低濃度PCB含有廃棄物(廃PCB等の自由液がない低濃度PCB含有汚染物又は低濃度PCB含有処理物を除く)を陸上運搬する際、廃PCB等の環境中への流出を防護するためにオイルパン又はシート等の上にこれらを設置して運搬すること。
3.2 運搬容器の再使用
運搬容器は、低濃度PCB含有廃棄物による二次汚染がないよう必要な措置を講じた上、同じ用途のため再使用することができる。